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Vision Tシャツと再生について

STATICでは、服を作る際に排出される裁断ゴミ(生地片)を再度糸に戻し、生地に仕立て、衣類にするという、新たなチャレンジに取り組んでいる。
環境配慮を謳い、エコだと考える生地を採用した衣類を作っても、その生地の裁断ゴミは排出される。メーカーはこの事実を理解しつつも、もしくは頭から消し、そして縫製工場のルーティンーンプロセスの中で産廃として廃棄され、焼却されるに任せている。
一般的に、裁断する生地面積に対して、20%~30%はゴミとなる。100mの生地を購入したら20m~30m分はゴミとなるかと思うと、ブランドを立ち上げた我々にとっては色んな意味で恐ろしい。
メーカーは生地利用のロスとしてそのゴミを計算に入れて服を作るのが通常だが、数字やルーティーンの裏に、こういった「廃棄」という問題があること気づき、我々の面前にリアルに出現したからこそ、危機感というものとリンクした。
そこで、STATICのアイコンアイテムの一つであるAdrift シリーズのポリエステル100%生地に目を付けた。なんといっても、最も多く製造するモデルであり、そのゴミの量も群を抜いている。メーカーの責任として確実に対応しなくてはならない。Adriftの裁断ゴミを燃やさずに再度糸にして利用出来たら、現時点で最もサステイナブルな方法ではないか?
それが「再生」のスタート地点だった。また縫製拠点を海外に置くと裁断ゴミのコントロールが難しく、裁断ゴミを再生のシステムに放り込むことが出来る国内縫製のメリットとも言える。

では、どうやって再生していくのだろう。

裁断ゴミをギロチン刃で細かくカットし、剣山のようなもので引っ掻き、わた状の繊維に戻していく。さらに、その繊維の向きを揃え、糸に紡績していくというのがプロセスだ。綿にしてしまえば、コットンやウールの紡績と大まかには一緒で、要はわた化できるかが大きなポイントとなる。

今年23年春夏にリリース予定のVision Tは、まさしくAdrift生産時の裁断ゴミを含んだTシャツ。同ボディは既に三俣山荘の企画する伊藤新道のクラウドファンディング返礼品や伊藤新道Tシャツとして発売されているが、Vision TとしてはSTATICのオリジナルデザインをプリント予定。

そしてByeHello PROJECTへ

昨年秋に立ち上げた「ByeHello」プロジェクトは、この取り組みを発展させるもので
・着古したフリースも原料として再生する
・アウトドア専門店に回収窓口として協力してもらう
・再生した糸でフリースを作る
というもの。

Fleece to Fleece。僕らの追い求める循環型の消費スタイルへの一歩だ。
ByeHelloから生まれた製品には専用のタグが付き、これも着古したら再度フリースに再生していこうと検討している。
まだ始まったばかりのプロジェクトで、その歩みはゆっくりかもしれないが、確実なものへと変えていきたいと考えている。